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誘惑の晩餐  シェリー・トマス

2009.12.04 *Fri
謎を秘めた料理人の作る魅惑の料理とともに綴られるヒストリカル・ロマンス。

 ソフトバンク文庫 2009.10

ヒロイン:ヴェリティ・デュラント  料理人
ヒーロー:スチュワート・サマセット  法廷弁護士。下院議員

1892年イギリス。長年反目してきた兄が亡くなった。求婚したばかりの婚約者を残し、スチュワートは兄が相続した故郷のフェアリーパークに向かう。そこで待ち受けていたのは兄の愛人だったという料理人、マダム・デュラントの極上の料理だった。決して姿を見せない彼女が作る、官能的なまでに心を振るわせる料理の数々に、スチュアートの心は激しく動揺させられる。やがて彼はまだ見ぬマダム・デュラントの魅力に強く翻弄されていくのだった。だが実は彼女は10年前たった一夜で彼を虜にし、姿をくらませてしまった謎の女性だったのだ。


はからずもヒロインが料理人のロマンスを続けて読んだのですが、まったく違った読み心地の話でした。こちらは、気づいたら深いため息が何度も口から漏れている感じです。とても面白かったのですが、同時にどっと疲れが出てしまうような。官能的で退廃的で、お料理の香りとなぜか高級な香水の香りが漂っているような、濃密な大人のロマンスでした。

序盤は過去と現在が交錯し、話の核心を避けて外堀を少しずつ埋めていく展開や、ころころ変わる視点に、興味深いながら中々話しに入り込めず。100ページほど読んだところでようやく腰をすえて読み進める覚悟ができたのですが、そのあともざわざわしたような落ち着かない気持ちと重い感覚が常に付きまとっていましたね。

なんというか、きれいごとではない人間模様で、登場するすべての人が、決して悪人でもなく、でもただのいい人間でもない、その描き方が秀逸です。人にはいろいろな面があって簡単に善悪などは決められるものではないのですね。憎しみも愛情も紙一重なのだなと・・・。
途中、ロマンス面ではない様々な感情の交錯する様子に、涙が何度も溢れてきてしまいました。

サブロマンスであるヒーロー婚約者と秘書の関係がとてもよかった。
軽い読み心地の本ではないので、じっくり構えて読む余裕のあるときにおススメします。


☆ピンク☆ピンク☆ピンク☆ピンク☆ピンク

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